2025年12月09日

こんにちは、副院長です。
11月23日に福岡で開催された、冠動脈治療を専門とする医師が集まる学会(ARIA)にて、
**「冠微小循環障害は臨床に何を引き起こすのか」**というテーマで講演を行ってまいりました。
「冠微小循環障害(かんびしょうじゅんかんしょうがい)」という言葉は、あまり聞きなじみがない方も多いかと思います。
私はこの 冠微小循環障害 や、冠動脈のけいれん(冠攣縮:かんれんしゅく) といった、
心臓の血管の“はたらきの異常”によって起こる胸の痛みや息切れの診断・治療を専門 としています。
心臓の血管には「太い血管」と「とても細い血管」があります
心臓の筋肉に血液を送る血管を「冠動脈」と呼びます。
冠動脈には、大きく分けて次の2つがあります。
- 太い血管(心外膜血管)
- 目に見えないほど細い血管(冠微小血管)
一般的に、太い血管が動脈硬化で狭くなることで起こる狭心症はよく知られており、
これは「労作性狭心症」と呼ばれています。
しかし実は、
👉 太い血管に狭いところがなくても、胸の痛みや息切れが起こる狭心症がある ことが分かってきました。
「異常なし」と言われたのに症状が続く方へ 〜INOCAとは?〜
冠動脈のカテーテル治療を専門とする医師の多くは、
太い血管の狭窄に対するステント治療やバルーン治療を中心に行っています。
そのため、
- 動脈硬化による狭窄が見つからない
- でも胸痛や息切れは続いている
という患者さんは、これまで「異常なし」とされ、適切に診断されないまま見過ごされてきたケースが少なくありませんでした。
このような状態は、
INOCA(イノカ:血管が詰まっていないのに起こる狭心症) と呼ばれています。
最新の研究では、
✅ 狭心症症状のある方の約3〜5割が、このINOCAに該当する
ことが分かってきています。
つまり、これまで 多くの方の胸痛や息切れが、正しく診断・治療されてこなかった可能性がある ということになります。
「原因不明の胸痛・息切れ」はご相談ください
- 検査では「異常なし」と言われた
- でも胸の違和感や息切れが続いている
- 不安を抱えたまま過ごしている
そのような方の中に、INOCAが隠れている可能性があります。
原因が分からない胸の症状でお悩みの方は、どうぞ一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
専門的な視点から、丁寧に診察・ご説明いたします。

