2026年2月02日

早いもので、2026年も1か月が過ぎ、2月になりました。
今年のクリニックの目標である
「気兼ねなく体の相談ができる、安心する場所になる」
という言葉を、あらためて口に出してみています。
目標は心の中にそっと抱くだけでなく、時々言葉にしたり、文字にしてみることで、より意識が高まるように感じます。
目標といえば、ご自身のHbA1cの目標値は意識されていますでしょうか。
診察のたびに主治医から伝えられる数字だと思いますが、今回はHbA1cの「目標値」についてお話しします。
HbA1cとは?
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は「糖化ヘモグロビン」とも呼ばれ、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンに、体内でエネルギーとして使われなかった余分なブドウ糖が結合したものです。
赤血球の寿命は約120日ですが、赤血球中のヘモグロビンは、寿命が尽きるまで基本的に結合したブドウ糖と離れません。
赤血球は体内で常に作られては壊されているため、HbA1cは過去1〜2か月程度の血糖値の平均的な状態を反映すると考えられています。
HbA1cは、食事内容や一時的な血糖変動の影響を受けにくく、治療の効果や治療方針の見直しに役立つ指標です。
- 何%が良いの?
→ 体の状態や生活、低血糖のリスクによって、最適な「目安」は人それぞれ異なります。 - 下げれば下げるほど良い?
→ 無理に厳しく下げすぎると、低血糖や体重減少、生活の質の低下につながることがあります。
HbA1cの目安
HbA1cの基準値は、日本糖尿病学会や日本人間ドック学会など、学会によって表記に若干の違いがありますが、一般的には5.5%未満が望ましいとされています。
一方、HbA1cが6.5%以上の場合、糖尿病と診断される目安の一つとなります。
<妊婦を除いた65歳未満の一般成人のHbA1c目標値>
- 血糖値の正常化を目指す場合
HbA1c:6.0%未満(低血糖なく安全に到達できる場合) - 合併症予防を目指す場合
HbA1c:7.0%未満 - 治療強化が困難な場合
HbA1c:8.0%未満
一般的な糖尿病治療では、HbA1c 7%未満を目標とすることが多く、その目的は合併症の予防にあります。
今から13年前になりますが、2013年に熊本で開催された糖尿病学会では、「熊本宣言2013」として
“Keep your A1c below 7%”
というスローガンが掲げられました。
私自身、くまモンを見ると「合併症予防のA1c=7%未満」を思い出すほど、このメッセージは印象に残っています。現在でも、糖尿病専門医の先生のSNSアイコンに、くまモンが使われているのを目にすることがありますね。

合併症予防のための血糖目標
HbA1c以外にも、以下の血糖値目標が設定されています。
- 空腹時血糖:130 mg/dL 未満
- 食後2時間血糖:180 mg/dL 未満
<高齢者(65歳以上)のHbA1c目標値>
65歳以上の高齢者の場合は、年齢や健康状態、認知機能、日常生活動作(ADL)などを考慮して、さらに細かく目標値が設定されます。
一般成人よりやや高めに設定されることが多く、HbA1c 7.0〜8.5%未満が目安となります。

目標値は「固定」ではありません
HbA1cの目標値は一度決めたら終わり、というものではありません。
体調や生活環境の変化、治療内容、併存疾患の状況などに応じて、定期的に見直していくことが大切です。
実際の外来での目標設定
外来では、以下の点を総合的に考慮しながら、目標を設定するようにしています。
- 低血糖の既往(夜間低血糖、運転時の低血糖の有無)
- 生活パターン(勤務形態、食事・就寝時間、運動量、会食や出張の有無)
- 合併症(腎機能、心血管病歴、神経障害、網膜症、他の併存疾患やステロイド内服の有無)
- 体重目標(体重目標がある場合は、HbA1cの目標も連動します)
- 使用薬剤(低血糖を起こしやすい薬剤を使用している場合は、低すぎる目標に注意が必要です)
- 血糖自己測定(自己測定の有無、リブレやDexcom G6などの使用状況)
人それぞれ1年の目標が違うように、HbA1cの目標も、その方の状況や時期によって変わります。
ご一緒に目標を設定し、その目標に向けて無理のない、最適な治療を見つけていきたいと考えています。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。