腸内環境と心臓病の意外な関係 〜「腸」と「血管」をつなぐ最新研究〜|内科・糖尿病・循環器|西小山|西小山とうや内科・糖尿病循環器クリニック

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腸内環境と心臓病の意外な関係 〜「腸」と「血管」をつなぐ最新研究〜

腸内環境と心臓病の意外な関係 〜「腸」と「血管」をつなぐ最新研究〜|内科・糖尿病・循環器|西小山|西小山とうや内科・糖尿病循環器クリニック

2026年3月02日

腸内環境と心臓病の意外な関係 〜「腸」と「血管」をつなぐ最新研究〜

こんにちは。副院長です。

少し意外に感じるかもしれませんが、今回は「腸内環境」と心臓病の関係に
ついてお話します。最近、心臓病の研究では「腸内細菌(腸内フローラ)」が重要な役割
を持つ可能性があることが分かってきました。

当院でも注目している分野であり、私自身
もMayo Clinicの研究グループと共同で研究を行っています (Toya T, et al. PLoS One.
2020;15: e0227147, Toya T, et al. PLoS One. 2021;16: e0249187)。

腸内細菌とは?
私たちの腸の中には、数百種類以上、数兆個とも言われる細菌が住んでいます。
これらの腸内細菌は:
・食べ物の消化を助ける
・免疫を調整する
・炎症をコントロールする
・代謝(糖・脂質)に関与する
など、全身の健康に関係しています。

心臓病と腸内環境はどう関係するの?
近年の研究では、腸内細菌のバランスが崩れる(=ディスバイオシス)ことで:
・慢性的な炎症
・血管内皮機能の低下
・動脈硬化の進行
が起こる可能性が示されています。例えば、腸内細菌が作る代謝物(TMAOなど)は、動
脈硬化との関連が報告されています。つまり、腸は単なる消化器ではなく、「血管の健康
」にも影響している可能性があるのです。

Mayo Clinicとの共同研究で分かったこと
私たちの最近の研究 (Hamidabad NM, Toya T, et al. PLoS One. 2026;21: e0341111)では、
腸内細菌のパターンによって心血管リスクが異なる可能性が示されました。患者さんの腸
内細菌を解析したところ、大きく2つのグループに分かれました。

■ リスクが低い腸内環境(Cluster L)
・腸内細菌の多様性が高い
・運動習慣がある人が多い
・BMIが低い傾向
・心血管イベント(心筋梗塞・心不全など)が少ない
■ リスクが高い腸内環境(Cluster H)
・動脈硬化の危険因子が多い
・特定の細菌が多い
・将来的な心血管イベントの発生率が高かった

特に重要なのは、
 従来のリスク(年齢・高血圧・脂質異常など)とは独立して、腸内環境が予後と関係し
ていたという点です。また、興味深いことに、
・すでに冠動脈疾患が進んでいる患者さんでは影響が小さい
・まだ病気が進んでいない段階では影響が大きい
という結果も得られました。これは、
 早い段階で生活習慣を整えることが、腸内環境を通じて将来の心臓病予防につながる可能性を示唆しています。

腸内環境は変えられる?
腸内細菌は遺伝だけで決まるものではありません。
以下のような生活習慣が大きく影響します:
・食事内容(食物繊維、野菜、発酵食品など)
・体重管理
・運動習慣
・薬剤(胃薬なども影響する可能性があります)
つまり、
日々の生活が腸内環境を変え、血管の健康に影響する可能性があります。

まとめ
腸内細菌は、まだ研究途中の分野ですが、
✔ 心臓病の新しいリスク因子になる可能性
✔ 将来的な予防や個別医療の鍵になる可能性
が期待されています。
今後も新しい知見を分かりやすくお伝えしていきます。

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