2026年8月23日

夏休みですね。海外旅行を予定している糖尿病の方から、
「インスリンは飛行機に持ち込めますか?」
「海外ではどのように保管したらよいですか?」
「時差がある場合、いつ注射すればよいですか?」
といったご質問をいただくことがあります。
インスリン治療中でも、事前にしっかり準備しておけば海外旅行を楽しむことができます。今回は、インスリンを使用している方が海外旅行に行く際に、特に注意していただきたいポイントをご紹介します。
① インスリンは機内持ち込みの手荷物へ
インスリンは、預けるスーツケースではなく、機内持ち込みの手荷物に入れましょう。
預け荷物にすると、ロストバゲージなどで手元に届かなくなる可能性があります。また、インスリンは凍結すると使用できなくなるため、温度管理の面からも手荷物として携帯することが大切です。
インスリンだけでなく、
- 注射針
- 血糖測定器
- 血糖測定用センサー
- 穿刺器具
- ブドウ糖などの低血糖時の補食
- その他、治療に必要な薬
も手荷物として携帯すると安心です。
旅行中の紛失や予定外の滞在延長なども考え、旅行日数より少し余裕をもった量を準備しておくことをおすすめします。1.5-2倍量の準備をおすすめしています。

② 英文の診断書・薬剤証明書を準備しましょう
インスリンや注射針を海外へ持っていく場合には、英文の診断書や薬剤証明書を準備しておくと安心です。
糖尿病で治療中であることや、インスリンなどの薬剤・医療機器が治療上必要であることを記載しておくことで、空港の保安検査や入国時に説明を求められた場合に役立ちます。
また、旅行先で体調を崩して医療機関を受診することになった際にも、ご自身の病気や治療内容を伝えるための大切な資料になります。
英文診断書の発行には時間がかかることがありますので、海外旅行が決まったら早めに主治医へ相談しましょう。
③ インスリンは「凍らせない」ことが重要です
インスリンは高温を避ける必要がありますが、同時に凍結させないことも非常に重要です。
旅行中はインスリン用の保冷ポーチなどを利用すると便利です。ただし、保冷剤を使用する場合には、インスリンが保冷剤に直接触れないよう注意してください。
また、機内ではご自身で管理できる場所に置き、直射日光や極端な温度変化を避けましょう。
インスリンの保存条件は製剤によって異なるため、旅行前にご自身が使用しているインスリン
の保存方法を確認しておくことも大切です。

④ CGMやインスリンポンプを使用している方は事前確認を
持続血糖測定器(CGM)やインスリンポンプを使用している方は、空港の保安検査にも注意が必要です。
機器によっては、X線検査やボディスキャナーなどについて使用上の注意が定められている場合があります。
対応方法は機種によって異なるため、旅行前に使用している機器のメーカーの案内を確認しておきましょう。
メーカーによっては、保安検査時の注意点などを記載した渡航用の英文書類を用意している場合があります。必要に応じて診断書と一緒に携帯し、保安検査の際には医療機器を装着していることを係員へ伝えましょう。実際に機器をみせることで、すぐに対応してくれる場合も多いようです。
また、万が一CGMが使用できなくなった場合に備えて、自己血糖測定器を予備として持参することもおすすめします。

⑤ 時差がある場合はインスリンの打ち方に注意
海外旅行で意外と難しいのが「時差」です。機内食もタイミングが分からず、苦労することもあるかと思います。
食事に合わせて使用する超速効型インスリンなどは、基本的には食事のタイミングに合わせて使用します。一方、1日1回など決まった時間に使用している持効型インスリンは、時差によって投与間隔が大きく変わることがあります。
特に時差の大きな地域へ旅行する場合には、自己判断で投与時間や投与量を変更せず、出発前に主治医と相談しておきましょう。
旅行先や出発・到着時刻が分かれば、具体的な調整方法について相談することができます。
⑥ 低血糖への備えも忘れずに
旅行中は普段より歩く時間が長くなったり、食事の時間がずれたりするため、低血糖が起こる可能性があります。
ブドウ糖など、すぐに摂取できる低血糖対策の食品を常に携帯しましょう。
また、一緒に旅行するご家族や同行者にも、糖尿病で治療中であることや、低血糖時の対応について伝えておくとより安心です。
海外旅行が決まったら、早めにご相談ください
インスリン治療をしているからといって、海外旅行を躊躇する必要は勿論ありません。
大切なのは、
「薬を十分に準備すること」
「インスリンを手荷物で携帯すること」
「英文診断書などを準備すること」
「時差に合わせた治療方法を事前に確認すること」
です。
特にインスリンの調整方法は、使用している製剤や治療内容、旅行先によって異なります。
海外旅行の予定がある方は、出発直前ではなく、できるだけ余裕をもって主治医にご相談ください。
当院では、旅行中のインスリンの使用方法や時差への対応などについて、一人ひとりの治療内容に合わせてご相談いただけます。
しっかり準備をして、安心して海外旅行を存分に楽しみましょう。
